樹木図鑑(クスノキ)
クスノキ
学名 Cinnamomum Camphora 別名 クス
樟(中)
camphor tree(英) 楠、樟 分類 クスノキ科クスノキ属 (常緑高木) ①クスシ(薬師)と同様に、クスリノキ(薬木)から。②クシキキ(奇木)から。③台湾で、ラクスと呼ばれていたのがもと。④臭い木の意。など諸説がある。「楠」は和字で、暖地(九州地方)の木の意。樟は中国名。 原産・分布 本州(関東南部以西)、四国、九州、朝鮮(済州島)、中国中南部
日本のは、古く中国から導入されたものと言われる。 神奈川県 山地を除き広く分布するが、植採の逸出とされている。 用途 公園・街路樹、建築・家具・船舶・彫刻材、樟脳 暖地に野生するほか、古くから神社などに植えられている。樹高は普通20mくらいになるが、ときに40mを超える大木もある。枝葉はよく繁り、病虫害が少なく、生育しやすくて長命。
春の若葉は、明るい緑黄色で目立つ。 新緑の樹
横浜市
岸根公園
040411

成木の樹皮は暗褐色で、縦に短冊状にやや深い割れ目がある。若い木の樹皮には葉緑素があり、幹でも光合成を行う。
葉や材には芳香があり、テルペノイドの一種である樟脳を含有する。このため飛鳥時代の仏像の多くは、クスノキ材からできている。→こぼれ話
★薬効★胃痛、通風、脚気による関節痛(生薬名「樟木」樹皮を除いた材)。 幹
横浜市
港北区
0112

4月頃に新芽を出す。常緑のクスノキの仲間は新芽がきれい。 新芽
藤沢市
六会
080411

葉は互生し、長い柄がある。葉身は卵形または楕円形で鋭尖頭。縁は全縁で波状になる。葉を切ると樟脳の香りがある。
基部から4~8mmのところで、3行脈が分かれるが、脈腋に小さな袋があり、多くは虱の幼虫が入っている。
★食★アオスジアゲハ、クスサン 葉
川崎市
川崎区
041023

雌雄同株、両性花。
5~6月に、本年枝の葉腋から円錐花序を出す。花は黄白色で5mmほど。 花
横浜市
鶴見区
030514

秋には、古い葉が落葉するが、そのときに紅葉する。 紅葉
中原区
041111

10~11月に実は黒く熟す。小鳥の好物で、種が遠くに運ばれる。
★食★アカハラ、オナガ、カラス、コジュケイ、ツグミ、キジバト、ヒヨドリ、ムクドリ、メジロ、 実
川崎市
中原区
041111

クスノキハクボミフシ。
キジラミの一種により形成される。4月ころ、新葉の葉裏に産卵し、幼虫は5月には吸汁を初めて、虫こぶの形成が始まる。虫こぶの色は、初め緑色、次第に紫紅色にかわり、秋には黒紫色になる。幼虫は、虫こぶの中で成長しながら冬を越し、春に成虫となり産卵する。 葉虫こぶ
世田谷区
瀬田
040609

こぼれ話 「仏像(飛鳥時代)」

古い仏像は木製のものが多い。どのような木が仏像に使われたのか興味があった。
小原二郎氏が1963年に発表した論文では、500体ほど調査した古い日本の仏像に使われた樹種は34種あり、ヒノキが最も多いとなっている。ただしヒノキが使われるようになるのは奈良時代(8世紀)以降で、飛鳥時代(7世紀)の仏像はほとんどがクスノキで作られていた。
これは、文化的な範であった中国(隋)の仏像が、当時は芳香のある白檀で作られていたことに影響を受けたとされている。日本には白檀が無いので同じく芳香のあるクスノキが使われたのではないとされる。クスノキは大木になるので材を得やすく、柔らかく加工がしやすかったことも彫像をするには都合が良かったのではないだろうか。
写真は中宮寺の国宝「弥勒菩薩半跏思惟像」。クスノキ材を使用している。中宮寺は法隆寺と同じ7世紀前半の創建とされている。
「樟脳(カンフル)」
材や葉にはともに約1%の精油を含み、そのチップを水蒸気蒸留すると樟脳油が得られる。樟脳油には約50~60%の樟脳の他に、多くの精油を含む。純粋の樟脳は白い結晶物質になる。
樟脳は昔から防虫剤として有名で、箪笥を開けたときの香りとして僕らの記憶に残る。箪笥の防虫剤は、樟脳の他にナフタリンや、新しいピレスロイド系防虫剤(「タンスにゴン」など)が多く使われるようになるが、やはりあの香りは鼻の奥に残っている。ただし樟脳が防虫効果を示す虫は、衣服につく虫(イガなど)が主で、何にでも効くわけではないそうだ。事実、上記のように生きている葉に付く虫もいろいろいる。
クスノキの英語名はcamphor treeで、樟脳の英名(カンフル)でもある。昔からダメになりかけた物事を復活させるための処方を「カンフル剤を打つ」などと言われた。注射剤の形の樟脳は、強い強心作用を示すために呼吸、血管、心臓の興奮薬として用いられていた。現在は外用医薬品として血行促進や鎮痛剤として使われている。
樟脳と言えば、小さなセルロイド製のおもちゃの船を思い出す。樟脳の白い結晶物質を、船のお尻に付けると不思議なことに元気よく走り始める。船の後ろの水面に樟脳の成分が広がり、表面張力の差によって船が前に引っ張られるらしい。子供の頃、お祭りの夜店で不思議な思いを味わっていた。
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