2023年9月5日 生物
花を咲かせることの一番の目的、それは他家受粉です。同種他個体と花粉をやり取りすることで、植物は多様な遺伝子をもった種子を作ることができます。そのため、多くの被子植物は花蜜を分泌したり、目立つ花弁を用意したりと、花粉媒介者となる昆虫などの動物を呼び寄せるために大きなコストを払います。しかし、ツユクサは花を開く前に自分の花粉で受粉してしまうことが多いです。せっかく大きなコストをかけて花を咲かせているのに、花が開く前に自分の花粉で受粉してしまったら花粉や胚珠がもったいないです。どうしてツユクサは開花前に受粉してしまうのでしょう。
ツユクサ
ツユクサ Commelina communis は、ツユクサ科ツユクサ属の一年草です。原産地は日本を含む東アジアで、国内では全土でみられます。農耕地や市街地の空き地、土手などに群生します。花期は6月〜9月頃です。
ツユクサは、花が閉じる際に、雌しべがくるくると巻きながら縮んで雄しべの葯に触れるようになっています。
セイヨウミツバチ:ツユクサにも訪花する
ツユクサは虫媒花で、花にはハナバチやハナアブなどの昆虫が訪れ、彼らが花粉を運びます。
トラマルハナバチ:ツユクサにも訪花する
うまくすると昆虫にたくさんの花粉を運んできてもらえますが、必ずしも十分量の花粉を受け取れるとは限りません。花を閉じる際に積極的に自家受粉する仕組みは、せっかく作った胚珠や花粉が無駄にならないようにする仕掛けだと考えられます。
ツユクサは、花が開く前に蕾の中で自分の花粉を自分の柱頭につけて受粉し、開花時には受粉済みの花を咲かせることもよくあります。開花時の受粉率が93%という研究結果もあります。これらの花は、せっかく花を作っているのに、子の遺伝的多様度を高める他家受粉チャンスをはじめから減らしてしまっていると言えます。
ホソヒラタアブ:ツユクサにも訪花する
ツユクサには、ケツユクサ Commelina communis f. ciliata と呼ばれる変種が存在します。ツユクサとケツユクサは、同じ場所に生育し、同じ時期に同じような花を咲かせます。昆虫は、それらの花を区別することなく訪れます。しかし困ったことに、ツユクサもケツユクサも別変種の花粉を受粉してしまうと、正常な種子を作れず、繁殖成功度が著しく低下してしまいます。そのため、両変種が同所的に生育する環境だと、花を咲かせて別変種の花粉をつけてしまうくらいなら、その前に自分で自分の花粉をつけてしまったほうが繁殖成功の可能性を高められる場合もあると考えられます。これが、ツユクサが開花前受粉のメカニズムを有する理由のひとつである可能性があります。
[参考文献]
ツユクサ, なかなかの植物ルーム. なかなか. available at: http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/tuyu-kusa1.htm .
Katsuhara, K.R., and Ushimaru, A. 2019. Prior selfing can mitigate the negative effects of mutual reproductive interference between coexisting congeners. Functional Ecology 33(8): 1504–1513. doi:10.1111/1365-2435.13344.
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网址: 咲いた時には受粉済:ツユクサの不思議な繁殖様式 https://m.huajiangbk.com/newsview175939.html
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