監修 園芸研究家 倉林雪夫
水面にぽっかりと花を浮かべる温帯スイレンは昔から人々の心をとらえ、印象派の巨匠モネが夢中になったことでも知られています。池で咲いている姿が印象的ですが、スイレン鉢を使えば家庭でも手軽にその花を楽しむことができます。
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基本情報栽培カレンダー準備と植えつけ栽培管理関連商品害虫・病気対策基本情報
科名属名スイレン科スイレン属原産地ヨーロッパ、アメリカの温帯地域分類多年(宿根)草,耐寒性栽培のスタート苗から日照条件日なた生育適温15℃~25℃(水温)水やり水没状態を保つ(葉は水上または水面に展開)特徴花は朝開き昼過ぎには閉じて3日間咲き続ける。暑さに弱く、真夏には開花が少ない。根茎が横に伸びるため、比較的大きな容器が必要。樹高花茎の長さ:水面または水面から10㎝、株元までの水深:5~40㎝植えつけ期3月~4月、入手できれば10月~11月開花期5月~7月豆知識
スイレンには大きく分けてヨーロッパや北アメリカ原産の温帯スイレン(耐寒性スイレン)と、アフリカや東南アジア原産の熱帯スイレンがありますが、ここでは昔から親しまれている温帯スイレンについて解説します。
初夏から夏にかけて水面にぽっかりと花を浮かべるその姿は幻想的で、ハスと並んで水辺の花として昔から親しまれてきました。ハスと混同されやすいのですが、ハスの方は細い地下茎が池底の地中を走り、ツヤが無く水をはじく丸型の葉を水上に立ち上げるのに対し、温帯スイレンはツヤのある葉を水面に広げ、花も水面に浮かべます。根茎も太いわさび状で、池底の土の上を這いながら育ちます。根茎の長さはハスは1m程度、温帯スイレンは20㎝~60㎝程度です。
温帯スイレンンは昔から親しまれているので日本原産と思われがちですが、実際にはヨーロッパや北アメリカが原産地です。夏の花のイメージが強いのですが、暑さは苦手で大きな池など水温の安定した環境では夏にも咲きますが、水温の上がりやすいスイレン鉢での栽培では夏には花が少なくなります。
花は朝早く開き昼過ぎには閉じてしまいますが3日間開閉を繰り返し、終わった花は水中に沈みます。花は水面に浮くように咲きますが、水深が極端に浅い場合は水面から立ち上がって咲くこともあります。
カレンダーは拡大してご覧ください。
・葉の展開している苗
・スイレン鉢(直径40㎝以上の比較的広いもの)
・植え込み用の鉢(7~8号以上の浅鉢)
・スイレン用土(なければ、田土、荒木田土、赤玉土小粒で可)
・肥料(「マイガーデン粒状肥料」が最適)
ワンポイント
植え付け適期:3月~4月頃(苗が市販される)
①苗は根茎の先にひとつしっかりした芽があれば良く、横についているわき芽はカキとった方が花付きが良いです。
②スイレン鉢は直径40㎝以下だと花付きが悪いので、なるべく大きなものを選びます。
③根茎が横に伸びるので、植え込み鉢は浅くて広い物を使います。
④用土はサラサラの状態だと株を固定できないので、粘土状に練って使います。
根茎が横に伸びてゆくので、伸びる方向にスペースを取って苗を置き、根鉢は崩さず周りに用土を入れて苗を固定します。この時、根茎は土に埋まってもかまいませんが、新芽の先が土に埋まらないよう注意します。肥料は用土に混ぜ込むのではなく、株から離れた位置にまとめて埋め込みます。量は7号浅鉢で15g程度(通常の基準よりかなり多め)です。肥料が水中に溶け出さないよう、しっかりと用土で埋め込んでおきます。
植え込んだ後はすぐに水を張ったスイレン鉢に入れ、株を水没させておきます。
ワンポイント
新芽が水から出ていると傷んでくるので手早く植え付け、すぐに水中へ戻しましょう、葉が水没していても大丈夫です。
半日以上日の当たるところ(できれば8時間以上)だが、真夏は水温が上がらないように工夫すると良いです。
水が減ってきたら、株元が露出しないうちに水を継ぎ足していっぱいにする。水道水をそのまま入れてかまいません。
水が極端に濁らない限り、水替えは不要です。
元肥が十分にいれてあれば追肥不要だが、葉色が薄くなって生育が悪くなってくるようなら、「マイガーデン粒状肥料」または、市販のスイレン用肥料か錠剤型の肥料を株元から離れたところに埋め込みます(水中に溶け出さないよう、土に埋めてふたをする)。
黄色くなってきた葉や重なり合った葉などは早めに摘み取ります(茂りすぎると花付きが悪くなる)。
小さな葉が出てきたらわき芽なので、付け根から摘み取ります(わき芽が増えると花が咲きにくくなる)。
終わった花は閉じた状態で水中にもぐるが、放置すると腐ってきて水が汚れるので、摘み取ります。
寒さには強く、水面に氷が張っても大丈夫(根茎本体が凍らなければ良い)なので、屋外で水中に入れたまま越冬させます。
芽数が増えすぎると咲かなくなるので、毎年必ず株分けして植え替えが必要。放置すると咲かなくなります。
従来は3月~4月の植え替えが常識とされていたが、10月~11月に行うと作業がしやすく(水が冷たくない)、春の開花も早いのでオススメ!
土を落として根をすべて切りつめ、芽を付けた根茎を7~10㎝程度で切り分けます。
この時、余分な芽はカキ取り、1株に1芽だけ残した方が花が咲きやすくなります。品種にもよるが3~10倍に増えます。
植え込み鉢に用土を詰め、伸長方向を空けて根茎を横向きに植え付けます。この時、根茎の後ろの方を土に埋め、芽先は土の上に出しておきます。根茎が浮いてしまうようなら、針金でUピンを作り差し込んで固定します。
肥料は春になって新芽が伸び始めてから土に埋め込むと良いでしょう。水中に溶け出さないよう、根茎から離れたところにまとめて埋め込み、土で覆っておきます。
温帯スイレンは病害虫の少ない植物なので、ほぼ無農薬で栽培が可能です。しかしアブラムシが付くことがあり、放置しておくと生育に影響するので、早めに防除します。メダカを飼っていなければ、「オルトランDX粒剤」を水中に撒けば簡単に防除できますが、メダカがいる場合には魚に影響の少ない「モスピラン・トップジンMスプレー」を葉に散布します。鉢から飛び出している葉が多いと、その葉裏に付きやすくなるので注意します。
特に秋口に大量発生することがあるので、気を付けましょう。
葉が直径1~2㎝にくりぬかれ水に浮いていたら、ミズメイガの仕業です。その中に小さな芋虫が潜んでいるので、回収して捕殺します。
ごくまれに、葉に褐色の斑点が出る褐斑病が発生しますが、少ないうちに病気の葉を回収してしまえば、ほとんど問題ありません。
ワンポイント
葉がスイレン鉢から飛び出し、水面から離れても枯れることはないので、無理に水面に戻すのは避けたほうが良いです。
また、スイレンが元気であれば水はあまり濁らないが、極端に汚れてきたら水替えしたほうが良いです。
一緒にメダカを飼うのはボウフラの防除にもなり、オススメ。
水温が30℃を超えると咲きにくくなるので、夏には水温をあげない工夫をすると良いです。
水面が見えないほど葉が茂りすぎると花が咲きにくくなり、咲いた花も隠れてしまうので古い葉から摘み取り、水面がある程度見えるようにしておきます。株元に直射日光が当たると花が咲きやすくなります。
場所があれば、レンガを3段積んで枠を作り、厚手(0.15.~0.2㎜)のビニールシートを敷けばインスタントに池を作れます。水量が多いので水温も安定し真夏でも咲きやすくなります。
監修 園芸研究家 倉林雪夫
1950年 東京都生まれ 明治大学農学部卒。
三重県の(株)赤塚植物園育種開発部参与。シャクナゲやタイタンビカス等さまざまな植物の育種を担当。熱帯スイレンについては、海外からの導入だけでなく、量産体制のシステム作りや一般への普及に取り組んできた。
NHK「趣味の園芸」で過去2回熱帯スイレンのテーマで出演。
特定防除資材
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殺虫殺菌剤
ベニカXガード粒剤
家庭園芸初!粒タイプの殺虫殺菌粒剤!病気に抵抗する強さを引き出し植物を丈夫にする
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